ドローンとは(無人航空機の定義)
無人航空機の定義
航空法の一部を改正する法律(平成27年9月11日法律第67号)により、次のとおり、「無人航空機」の定義が新たに追加されました。
航空法による無人航空機とは 、「航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるもの(その重量その他の事由を勘案してその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物の安全が損なわれるおそれがないものとして国土交通省令で定めるものを 除く。)。」と定義されており、いわゆるドローン(マルチコプター)、ラジコン機、農薬散布用ヘリコプター等が該当します。
航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして、航空法施行規則第5条の2により、重量が100グラム未満のものは無人航空機の対象からは除外されます。 なお、100g未満の重量のものを、空港等周辺で飛行させることや、高高度で飛行させることは、「航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為」として、従前のとおり航空法第134条の3の規制を受け、飛行の許可等が必要となる可能性があります。ここで、「重量」とは、無人航空機本体の重量及びバッテリーの重量の合計を指し、バッテリー以外の取り外し可能な付属品の重量は含まないものとされています。
ドローンを飛ばす
航空法で定められた規定
ドローンの飛行には基本的に免許や資格は必要ありませんが、航空法で定められた規定を遵守する必要があります。
ドローンを飛ばすには、基本的には次のことが必要になります。
- ドローンの機体登録をする
- 機体にリモートIDの表示をする
- 飛行許可申請を行う(10時間以上の飛行経歴が必要)
- 許可を取得した後も、各種法令の規定を守る
航空法以外の規定も多数存在し、それらも遵守する必要があります。小型無人機等の飛行禁止法、道路交通法、電波法、河川法、海岸法、港則法、海上交通安全法、森林法、都市公園法、自然公園法、重要文化材保護法、都道府県・市町村など自治体条例、プライバシー・肖像権、個人情報保護法、民法等と多岐に渡ります。事前調査や手続きが必要になるケースも多くあります。
操縦者の責任
ドローンの飛行において、操縦者は飛行を開始してから終了するまで全てに責任を問われます。操縦者の最も基本的な責任は、飛行を安全に成し遂げることです。したがって、飛行の全体にわたって安全を確保するための対策を実施する必要があり、その責任は操縦者が負っていることを自覚することが重要です。
損害賠償能力の確保
無人航空機を飛行させる場合、飛行中における航空機や他の無人航空機との接触又は衝突、落下等による地上の人又は物件との接触または衝突により、第三者に損害を与える危険が想定され、その場合には当該損害を賠償することを求められることがあります。このことから国土交通省においては、加入している保険の確認など無人航空機を飛行させる者が賠償能力を有することの確認を、許可・承認の審査の際に行っています。 車であれば自賠責保険の加入が義務ですが、今のところドローンに保険加入は義務づけられていません。ドローンを飛行させるなら加入しておくことをおすすめします。
無人航空機の保険については大きく分けて以下の種類があります。
DIPS2.0でできること
ドローン情報基盤システム
ドローン情報基盤システム(通称:DIPS2.0)は、航空法に基づく無人航空機の各種手続きをオンラインで申請するシステムです。2022年12月に発足した無人航空機操縦者技能証明や機体認証等の新制度開始に伴う新しいシステムと、従来のシステムだった機体登録や飛行許可申請等を1つにまとめ、「ドローン情報基盤システム2.0」として公開されました。
DIPS2.0では、代表的な手続きである機体登録・飛行許可申請に報告や認証の新システムが加わり一体的な仕組みになりました。また、事業者向けの手続きも追加され、国家資格の申請もこのシステムで行ないます。
DIPS2.0でできる主な手続き一覧
<飛行・機体に関する手続き>
- 無人航空機の登録申請
- 機体認証、技能証明の取得申請
- 飛行許可・承認申請
- 飛行計画の通報・確認
- 事故等の報告
<事業者用ページでできること>
- 登録講習機関申請
- 登録更新講習機関申請
- 登録検査機関申請
申請完了までのおおよその流れ
アカウント開設
↓
機体情報登録
↓
操縦者情報登録
↓
飛行許可承認申請
↓
飛行計画通報
無人航空機操縦者技能証明制度
国が発行するドローンのライセンス
無人航空機操縦者技能証明とは、国が発行するドローンのライセンスのことで国家資格です。今までは国が発行するライセンスというものは存在しませんでしたが、2022年12月5日より開始されました。
ドローン国家資格は「一等ライセンス」と「二等ライセンス」の2つに分類できます。
無人航空機操縦者技能証明を受けるためには、原則として学科試験、実地試験及び身体検査に合格することが必要ですが、登録講習機関(国が登録する民間機関)において無人航空機の操縦に係る必要な講習を受講し、講習の修了審査に合格した場合には実地試験が免除されます。資格の有効期限は3年で資格取得の対象年齢は16歳以上となります。
一等と二等の大きな違いは、「立入管理措置をするかしないか」という点になります。一等は措置が不要(飛行申請は必要)、二等は必要となります。ただし、飛行形態のリスクに応じ、第一種機体認証、第二種機体認証を受けた機体での飛行に限ります。
一等無人航空機操縦士
・有人地帯(第三者上空)での補助者なし目視外での飛行(レベル4)ができます。
新たなドローン飛行の社会実装に向けて、安全性を担保するために必要な資格となります。
二等無人航空機操縦士
・条件を満たせば飛行申請の一部省略・免除となる「カテゴリーII」の飛行が可能です。
従来の規制ルールでは許可申請が必要とされていた「安全確保措置等の個別に確認が必要な飛行」(人口集中地区、夜間、無人地帯での目視外、人や物件との距離30m未満など)の申請の一部が免除されます。
操縦者が遵守すべきルール
必ず守らなければいけないルール
適切な飛行許可を取得するのはもちろんですが、飛行許可承認以外でも必ず守らなければいけないルールがあります。
アルコールまたは薬物などの影響下で飛ばさないこと
要するにドローンの飲酒運転のことです。「アルコール」とはアルコール飲料やアルコールを含む食べ物を指し、「薬物」とは麻薬や覚せい剤等の 規制薬物に限らず、医薬品も含まれます。
アルコールによる身体への影響は、個人の体質やその日の体調により異なるため、体内に保有するアルコールが微量であっても無人航空機の正常な飛行に影響を与えるおそれがあるため、アルコール濃度の程度にかかわらず体内にアルコールを保有する状態では無人航空機の飛行を行ってはなりません。
飛行前確認を行うこと
故障でドローンが墜落してしまうことを防ぐため、ドローンを飛ばす前に準備が整っているかどうか確認をする必要があります。
- 外部点検及び作動点検による無人航空機の状況の確認
- 各機器の取付状況(ネジ等の脱落やゆるみ等)、発動機・モーター等の異音の有無、機体(プロペラ、 フレーム等)の損傷や歪みの有無、通信系統・推進系統・電源系統・自動 制御系統等の作動状況などの確認
- 無人航空機を飛行させる空域及びその周囲の状況の確認
- 飛行空域や周囲における航空機や他の無人航空機の飛行状況、飛行空域や周囲の地上又は水上の人(第三者の有無)又は物件(障害物等の有無)の状況、航空法その他の法令等の必要な手続き等の状況、緊急用務空域・飛行自粛要請空域の該当の有無、立入管理措置・安全確保措置等の準備状況などの確認
- 飛行に必要な気象情報の確認
- 天候、風速、視程など当該無人航空機の飛行に適した天候にあるか否かを確認する。
- 燃料の搭載量又はバッテリーの残量の確認
- リモートID機能の作動状況の確認
航空機または他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること
人が乗っている飛行機やヘリコプター、他の人が操縦するドローンとぶつからないように飛ばさなければいけません。ドローンを飛ばす前にも確認をしますが、飛ばしている間も常に気を付ける必要があります。もしドローンを飛ばしているときに他のドローンや飛行機を見つけた場合には、接近又は衝突のおそれがあると認められる場合には、ドローンを着陸させたり、ホバリングさせたりぶつからないように適切な措置をとる義務があります。事前に飛行計画を登録してドローンを飛ばすことを知ってもらうことも衝突予防に繋がります。
他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと
迷惑をかける飛ばし方というのは、飛行上の必要がないのに高調音を発し、又は急降下し、人に向かって無人航空機を急接近させることなどを指します。
航空法による罰則
航空法令の規定に違反した場合には
航空法において、無人航空機を飛行させる際の基本的なルールが定められています。これらのルールに違反した場合には、内容によりそれぞれ罰則に係る規定が設けられていますので、法令を遵守しながら安全に飛行させる必要があります。
航空法令の規定に違反した場合には、次の罰則の対象となる可能性があります。
2年以下の懲役又は 100万円以下の罰金
事故が発生した場合に飛行を中止し負傷者を救護するなどの危険を防止するための措 置を講じなかったとき
1年以下の懲役又は 50万円以下の罰金
登録を受けていない無人航空機を飛行させたとき
1年以下の懲役又は 30万円以下の罰金
アルコール又は薬物の影響下で無人航空機を飛行させたとき
50万円以下の罰金
登録記号の表示又はリモートIDの搭載をせずに飛行させたとき
規制対象となる飛行の区域又は方法に違反して飛行させたとき
飛行前の確認をせずに飛行させたとき l 航空機又は他の無人航空機との衝突防止をしなかったとき
他人に迷惑を及ぼす飛行を行ったとき
機体認証で指定された使用の条件の範囲を超えて特定飛行をおこなったとき 等30万円以下の罰金
飛行計画を通報せずに特定飛行を行ったとき
事故が発生した場合に報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき 等10万円以下の罰金
技能証明を携帯せずに特定飛行を行ったとき
飛行日誌を備えずに特定飛行を行ったとき
飛行日誌に記載せず、又は虚偽の記載をしたとき
航空法以外にも、操縦者が負うことのある責任には、「刑事責任」「民事責任」が あり、また「行政処分」を受けることがあります。